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【映画感想】追憶と、踊りながら

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★★★★★

 

大好きな映画です。

 

 

 

以下ネタバレ感想。

 

 

ある日、事故でひとりの青年が死んでしまう。

彼には愛する同性の恋人と、

大事に思っている英語が話せないベトナム系中国人の母がいた。

彼がいなくなったあと、恋人は彼の母に会いに行く、というお話。 

 

+++

 

ひとりの人が突然いなくなってしまう、それは

誰かのとてもとても大切な人で。

 

お互い彼を愛しているのは分かっている

でも、だからこそ

受け入れられない気持ちも分かる。

 

彼が心配していた人だから、だから

残された自分もそうしたい、それは彼との繋がりを

絶ちたくないという気持ちからなのかな、と感じました。

 

どちらの気持ちも分かる。

分かるからとてもつらかったです。

 

この映画が大好きなのは、そういう心の奥底にある

感情を丁寧に描き出しているから。

美しい映像と、素晴らしい役者さんたちの演技と。

そしてほんとうに美しい脚本。

 

観終わって(というか観ているときからの)感想は

「どうしてカイ死んでしまったの」

でした。うっつらい…。

 

+++

 

夫の提案で良い暮らしをしようとイギリスに移り住んだものの

馴染めずに言葉も話せないでいるジュン。

私からしたら「なんでそんな長い年月をイギリスで暮らしているのに

ぜんぜん話せないの?」と思うのですが

彼女なりに「イヤイヤ来た」というアピールでも

あったのかも…?

夫に先立たれ、息子(カイ)には老人介護施設?に入れられ。

”友人”がいるから一緒には暮らせない、というカイに

苛立つ母。

そりゃそうですよ…。なんで?親の私より友人が大事なの?って

なりますよね…。

 

だから、ジュンは”友人”のリチャードのことが気に入らないのです。

分かる。それも分かる。

 

リチャードはそんなジュンを心配して

いろいろ世話を焼こうとするんだけど、ジュンの心は

氷のように硬いのでギクシャクするばかり。

 

カイが大事にしていたお母さんだから。

カイと自分を繋いでくれるのはお母さんだから。

だから、カイがしてあげたかったことをしていれば

ずっとカイを感じられる。

リチャードの気持ちもすっっっごく分かります…。うっうっ(泣いてる)。

 

リチャードはカイがジュンにカムアウトしてほしかった。

でもカイはできなかった。

でも意を決して伝えようとしたその日に、いなくなってしまった。

でも、…母は気づいていたんです。

 

リチャードがただの”友人”ではないことに。

 

ああ、カイ!!ばか!ばかだよ!!!

あんたは自分で思っている以上に見てもらってるし

愛されてるんだよ!!

カイの口から伝えてあげたかったな…。

そしてカイとリチャードとジュンと、

3人で楽しく、ときには嫁姑的なバチバチもありながら(笑)

暮らしてほしかったですほんと…。

 

あと、この作品で声を大にしていいたいことは

「声が素敵な人っていいな!」です。

通訳の女性(ヴァン)の声が、すごくいいんですよ~。

邪魔にならない。

ずっと聞いていたいな、とすら思える!すごい。

と思っていたら、パンフで『監督がその声の魅力で抜擢』と

書かれていて「やっぱり!」と思いました。

 

追憶:過ぎ去ったことに思いをはせること。過去をしのぶこと。

 

ラストで踊るシーンが出てくるのですが、

それがとっても素敵で、とってもせつなくて。

それぞれの相手で踊りの感じが違うのがね、とても…いいんです。

ああ、映像でみてほしい!!!

 

また宝物の映画が増えました。

日本公開はないと思っていました。

配給のムヴィオラさま、ありがとうございます!!

 

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リチャードに対して最初はずーっとこんな表情のジュン。

 

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それがラストではこんなに柔らかなお顔に…うっ泣ける…。

 

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そういえば触れていませんでしたが

ジュンは住んでいる老人介護施設?で猛烈アタックされています。

でもぜんぜん気が合わないと思う。このふたり。

 

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カムアウトしなきゃ…でもできない…なカイ。

この方、この映画が映画初出演なんですね!

とっっっても美しかったです。彼じゃなければこんなに泣けない!

アンドリュー・レオンさん。覚えました。

 

そんなアンドリューくんとウィショくんのベッドシーンが美しくて。

そこには愛しか感じられない…!

3シーンしかないのに、とても印象深いんですよ…。

 

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※この後ちちげを抜いて食べるという(ほんと)カルチャーショック!

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うっ美し…!幸せそうで仲良さそうで、こんなきれいな

ベッドシーン、久々に見た気がします。

 

ヴァン役の女性とインタビューを受けるウィショくん。

ひげなのにこんなかわいいとか、どうなってるの…。

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